株式会社 片平新日本技研

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片平の仕事Katahira’s Works

周辺環境に配慮した歩道・水路整備の施工計画業務について

本業務の背景について

平成23年度に実施した首都圏の「国道道路付属施設等設計業務」の中から、開水路を暗渠化し、歩道幅員狭小区間の改良整備(約150m)における施工計画について紹介します。

現地状況と問題点

当該箇所の現状と問題点としまして,6点ほどありました。

  1. 歩道幅員が1.5mであるため,人と自転車のすれ違いが難しい。
  2. 歩道脇の水路(コンクリート柵渠)の縦断勾配は0.25%と緩い。
  3. 常時滞水しているため,異臭がしている。
  4. コンクリート柵渠の状態は、老朽化および東日本大震災により破損し,単管サポートにより応急処置を行っている。
  5. また,歩道下に下水道管が埋設されている。
  6. コンクリート柵渠の中心で,国と市の境界がとなっており,お互い改良しにくい状況にある。

施工の課題と条件

1)土質条件が不良。未固結の沖積層(N値≒0)が地下30m付近まで分布ボックス下の地盤改良および置換え処理が必要となります。

2)施工条件として

①国道の交通量が多い,②交差点に近接,③歩道の確保,④民地への影響は与えない。ことが挙げられ、4項目の状況により,施工に際しては,周辺への影響を極力,最小限に抑えることが重要となりました。

課題解決のための施工方法を検討

施工幅の制限を受ける水路の一般的な,施工方法としては,鋼矢板による締切土留方法がとられますが,この工法によるほとんど工種において,国道側からの施工になり,片側交互通行(36日)を余儀なくされることになります。

土留と基礎コンを施工した後のボックスを据え付ける方法は,リフトローラー工法,ベアリング横引き工法等がありますが,なんとか,土留をしながらボックスを施工できる方法はないかとNETIS(新技術情報提供システム)で検索していたところ・・・、オープンシールド工法にたどり着きました。

開削工法(鋼矢板土留め)

オープンシールド工法

オープンシールド工法は、開削工法とシールド工法の長所を取り入れ,市街地,軟弱地盤等の施工を可能にした工法。

上部開放型のシールド機を使用

  • 切羽内部の地山をバックホウで掘削・排土
  • シールドジャッキにより,敷設函体を反力としてシールド機を推進させ,1函渠分掘進後,函渠を敷設
  • 函渠と地山の間は,裏込注入材を充填

掘削・土運搬

排水レイアウトの手紙

側面的な施工については、掘削時,シールドジャッキの先端に4段くらいに分割されている刃口があり,それを掘削面に突き当てて側面の掘削面を抑えます。掘削は,バックホウで行い背面のダンプに積込ます。

ボックスの据えつけは,オープンシールド機の箱内にクレーンで吊り込み,ボックス周辺を裏込注入で充填します。(注入は,箱があるため,1次・2次と実施)これの繰り返しにより,歩伏(ほふく)前進のように推進していきます。

まとめ、今後の課題

本検討で,現場に即した施工方法や,新技術新工法を取り入れ,工期およびコストの縮減が図られる最良な施工方法についての提案ができたと思っています。

また,今後の課題として,ジャストポイントによる地質・土質調査を実施し,その調査結果によって改良深さ等の見直しが必要です。

現場状況とコスト、施工による周辺への影響を第一に考え、この案に行き着いた。見慣れない工法のため、細部に係る具体的な施工方法について発注者も興味を示していただけたことでも印象付けになったと感じます。今後も、現地をよく把握し、効率かつ効果的な計画を行うようにしていきます。

項目 オープンカット工法 オープンシールド工法
断面図
ホームズ近接等
  • 鋼矢板打:地盤緩みの懸念
  • 引抜き:周辺への影響で不可→埋殺し
  • 下水管への影響→施工困難
  • 縦方向のスライド施工で、家屋・下水管への影響なし
交通規制
  • 掘削・地盤改良:函梁布設時:片側交互通行(36日)
  • 到着ピットピットグランプリの手紙:シート側インタラクティブなトラフィック(6位)
  • 函梁布設:クレーン旋回時に一時通行止
    2分(函体)×4函体(1日)=8分
増水時の対応
  • 掘削面の流掘、埋戻し土の崩壊
  • 基礎構築時の養生不足の懸念
  • シールド機による底板、側壁面の保護
  • シールド機内を通水可能
施工期間
  • 69日(実日数)
  • 48日(実日数)
人件費(直接労務)
の見積もり
  • 65,500千円
  • 56,250千円
総合評価
  • 周辺に与える影響が大きく不利
  • 最小スペースで施工可能、工期およびコスト短縮の向上