株式会社 片平新日本技研

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片平の仕事Katahira’s Works

大雪対策の道路拡幅計画

本業務の背景について

本業務の本線拡幅修正設計は,除雪による高速道路の通行止め等のサービス低下を懸念し,冬期管理を踏まえ必要と思われる最小限の幅員を確保する幅員修正設計を実施したものです。

設計の課題について

  • 過年度の基本計画では,第1種第3級 寒冷地(非積雪地)の先行2車線運用,幅員は全幅W=10.5mでした。
  • 非積雪地であるが南岸低気圧の時に大雪になるため, 積雪地域として堆雪幅を考慮する必要があります。
  • 計画対象降雪深は10年間再現確率で40cmとし,
  • 道路構造令,設計要領第四集より,1次堆雪幅1.0m,2次堆積幅0.75mとなります。これは,基本計画の幅員内で収まるものとなりますが,県警から、外側線を出すこと及び,路肩も除雪するようにと要望があったため,スノープラウ(除雪版)での1次除雪のみでは,路肩を除雪することが出来ないので,さらなる拡幅除雪のために,小型ロータリー車による2次除雪が必要となります。

プラウ(除雪版)

小型ロータリー車

  • 小型ロータリー車による拡幅除雪を実施する場合に,車幅2.25mの後尾警戒車が必要になります。そうした場合,除雪作業中に大型車とのすれ違い幅が確保することが出来きません。
  • よって,後尾警戒車脇を大型車が通過可能にすることを踏まえた上で,最低限の幅員を確保するには,すれ違い幅W=0.5mが必要になります。その結果、路肩はW=2.25mとなる。また、全幅はW=11.5mとなる。
  • 除雪後の路肩はW=2.25m確保することとしました。

設計の実施について

次に,拡幅方法としまして,拡幅設計実施の有無についてご説明致します。

  • まず基本的に拡幅は土工部としまして,橋梁部とトンネル部は,用地幅の不足やトンネル施工済みであること,幅員拡幅による工事費のコスト増が大きいことにより,拡幅の対象外となります。また,切土部盛土部については,基本的にのり尻部をブロック積擁壁で抑えて拡幅する方針となりますが,基本計画の時点で、本線切土部にブロック積みの設置が計画されている箇所については,多段ブロック積みとなるため拡幅しません。更に、施工済みの盛土部においては,薄層盛土施工となり表土の崩落が懸念されるので,拡幅しません。
  • IC部のノーズ間においても,切盛り土と同様に,本線とランプ間の法尻にブロック積擁壁で抑え拡幅します。ただし、変速車線部は幅員が確保されているため,拡幅はしません。
  • また付加車線部も上下線合わせて4車線確保されているので,拡幅しません。
  • 最後に函渠工部についてですが,盛土施工済みで無い限りは基本的に拡幅しますが,未施工かつ未発注・発注予定のものは,本体延伸の修正設計を実施するものとします。また付加車線部も上下線合わせて4車線確保されているので,拡幅しません。また,未施工かつ発注済み・修正設計済みのものは,本体延伸案とウィング部かさ上げ案で比較検討を行うものとします。函渠工施工済み箇所については,ウィング部の嵩上げの修正設計を実施することとします。

土工部の拡幅方法について

土工部における拡幅方法については,のり尻のへのブロック積擁壁設置が基本となりますが,コスト削減のため,ブロック積擁壁を設置しなくても用地に支障のない場合は,設置しないこととしました。

(盛土部)

  • 本線法尻と側道間に用地余裕がある場合 ⇒ 土羽処理で拡幅
  • 本線法尻と側道間に用地余裕がないが,用地境界部に用地余裕がある場合 ⇒ブロック積擁壁は使用しない
  • 用地境界部に用地余裕がない場合 ⇒ ブロック積み擁壁を設置

(切土部)

  • 本線法肩と側道間に用地余裕がある場合 ⇒ 土羽処理で拡幅
  • 本線法肩と側道間に用地余裕がないが,用地境界部に用地余裕がある場合 ⇒ブロック積擁壁は使用しない
  • 用地境界部に用地余裕がない場合 ⇒ ブロック積み擁壁を設置
  • *「土工部」土を掘り、運び、盛り固めるなどの土を動かす工事部分

課題点の検討 01

(上記方針で設計を進める中、あがってきた課題点とその対処について)

土被りが薄い函渠工であり,すでに施工済みのBOXとなっています。この函渠工部の本線路肩排水は,広域農道からの排水の合流で流出量(Q=0.269m3/s)が増加し,600型の都市型側溝の設置が必要となります。しかし,土被りが薄い影響で都市型側溝が設置できない状況が確認できました。

そこで,本線路肩排水路と函渠工の交差構造について検討しました。

これらの低土被り,施工済みのBOX部に600型の都市型側溝を設置した場合,横断図上では都市型側溝とBOX天端が干渉してしまいます。

これを防ぐために,低土被りBOX部において,基本計画の都市型側溝(600型)の代わりに,可変側溝(600型)を採用しました。

函渠工部においては可変側溝の側壁をカットする特殊形状とすることで,通水断面を確保することが出来ました。

なお,当該区間の舗装が排水性As舗装のため,それに対応した可変側溝を採用しました。

課題点の検討 02

橋台と土工部(補強土壁)のすり付けについて

拡幅設計を行う土工部と,拡幅設計を行わない橋梁部において,幅員がことなるためすり付け検討を行いました。

こちらのすり付け方法の基本条件に基ずいて幅員すり付けを実施しました。

  • 構造物と土工部のすり付けは,基本的に土工区間において5mラウンドで行います。
  • すり付け率は1/30とし,路肩の拡幅量0.50mより,すり付け延長は L=0.50m×30=15mとします。

以上の方針を基に上野橋A2橋台背面のすり付けを検討した結果次の通りとなりました。

  • 上り線では,橋台ウイング端より5mラウンド測点の位置から,すり付け長15mの位置まですり付けました。
  • 下り側にて基本計画されていた補強土壁(テールアルメ工)において,幅員のすり付けのために屈折箇所を設けることは好ましくないため,下り線側のすり付けは上野橋A2のウイング端から,すり付け長L=15m以上で5mラウンド測点の位置までとしました。
  • *「すり付け」:直線部から曲線部へかけて、滑らかに接続した部分。段差を解消するために一定の長さで、ゆるやかに変化させた部分。
  • *「土被り (どかぶり)」:地中に構築される構造物の上端から地表面までの厚さ、または地表面からの深さ。

まとめ、今後の課題

  • 発注者からの指示より,高速道路本線の除雪作業による通行止め等のサービス低下を懸念し,冬季管理を踏まえ必要と思われる最小限の幅員として,路肩を1.75mから2.25mに変更する『本線拡幅修正設計』を実施した。
  • 本線拡幅修正設計を進める中,函渠工の土被りが薄い影響により,本線路肩排水路の都市型側溝が設置出来ない状況が確認できた。

これに対して,基本計画の都市型側溝(600型)の代わりに,可変側溝(600型)を採用した。函渠工部においては可変側溝の側壁をカットする特殊形状とすることで,通水断面を確保することが出来た。

  • 拡幅設計を行う土工部と,拡幅設計を行わない橋梁部において,幅員が異なるため幅員すり付け検討を行った。また,下り線側で計画されていた補強土(テールアルメ工)において,橋台のウイング端から幅員をすり付けることで,補強土に屈曲箇所を設けないようにした。