株式会社 片平エンジニアリング

SA・PAに接続するスマートIC
社会実験開始後の運用状況

スマートICのメリット・デメリットについて

40th_case5_photo00.jpg

須恵スマートIC。約5,000台/1日の交通量は全国のスマートICの中でもトップクラス。

1.スマートICとは

スマートインターチェンジ(以下、「スマートIC」と称す。)は、高速道路の本線やサービスエリア、パーキングエリア、バスストップから乗り降りができるように設置されるETC搭載車両専用のインターチェンジです。

平成16年10月の社会実験開始、平成18年4月の本格導入(恒久化)開始以降、平成22年6月現在、全国で51ヶ所のICが供用されています。

2.業務実績(SA・PAに接続するスマートIC社会実験検討業務)

平成16年度、財団法人道路システム高度化推進機構(ORSE)からの委託により、スマートICの社会実験における交通誘導計画、実施箇所のデータ収集・実験結果のとりまとめおよび本格整備に向けた課題の整理を行いました。

それらのうち、特に、一旦停止型の簡易ETCの導入・利用車種・利用時間等、「制限」を伴うICを初めて導入するため、「如何に利用者に対し、間違った誘導・案内をしないか?」、「間違った場合にどう退避させていくか?」等、これまでにない検討が必要でした。

その後、対象となった全てのICが本格導入され、検討成果が活かされていると思いますが、本レポートでは、現地調査を踏まえ、現在のスマートICのメリット・デメリットを中心にお伝えします。

3.現地調査(九州自動車須恵スマートIC)

40th_case5_img01.png

図1:須恵スマートIC位置及び概略図(NEXCO西日本 HPより)

表1 須恵スマートICの概要
利用者種 普通車(車長6m以下)、軽自動車(大型車不可)
利用時間 24時間終日着用
利用方向 4方向全て利用可能
一般道路制限 下り線入口に並行している一般道路から、右折による進入禁止。出口からは左折のみ利用可能
須恵PA 上り線(小型19台、大型7台)、下り線(小型18台、大型6台)の小規模なPA

4.須恵スマートICの概要

社会実験候補28ヶ所のうち、九州で唯一の九州自動車道須恵スマートICを選び、現地調査を行いました。

須恵スマートICは、福岡市の東側に位置する須恵町(人口約2.6万人)の須恵パーキングエリア(以下PA)に、平成16年12月から社会実験を開始し、平成18年10月から本格導入されました。近くには福岡空港があります。

利用交通量は、社会実験開始当初約400台/日でしたが、現在約5,000台/日近くに達しており、全国のスマートICの中でも、トップクラスに位置しています。

5.現地の状況

須恵スマートICについて、主に以下の視点に着目して現地調査を実施しました。

どのような案内(誘導)がされているか

①一般道からスマートICへの案内(誘導)

福岡空港から、須恵スマートICへ案内する標識は見られず、IC直近の県道交差点にようやく見られました。積極的に高速へ誘導しようという感じは見られませんでした。【写真1・2参照】

社会実験の時に検討した色彩をそのまま本格運用になっても利用されていて、特に全ての標識・看板において、車種が限定されていることを強調されていました。【写真3参照】

40th_case5_photo01.png

写真1:ETCカラーの青紫色と通行禁止マークにより、簡潔に規制条件を示していました。

40th_case5_photo02.png

写真2:アクセス道直近の標識です。ここでは一旦停止をアピールし、反対車線側への誘導もしています。

40th_case5_photo03.png

写真3:車種限定であることを強調しています。

②ICから一般道への案内(誘導)

一般道への案内標識は、写真のとおり、地元の方にしかよくわからないような書き方になっていました。正直、県道の番号を書かれても・・・。【写真4参照】

40th_case5_photo04.png

写真4:一般道への案内標識

③高速からICへの案内(誘導)

高速道路本線からの案内は、2km、1km、500m、PA直前に案内標識がありました。また利用車種についても、適度な間隔で案内標識があり、大型車不可であることを知らせていました。

PA入口からスマートIC出口までは、小さなPAなので、適切な案内が必要ですが、わかりやすい標識と、レーンマークで迷うことはありませんでした。管理員の話によると、大型車で間違って進入される車両はほとんどないそうです。

40th_case5_photo05.png

写真5:上り線PAからIC出口への看板

6.ICの管理体制はどうか

上下線とも、プレハブ小屋を建て、24時間体制で監視員(誘導係)が常駐しています。

1分間に2~5台程度来ているようでしたが、我々が通過する直前にも、バーが開かずに待避場所やバックを強いられている車が数台おり、その度に監視員が出てきて対応していました。【写真6参照】

最初は、「怪しいやつ」と思われたみたいで、監視員に怪訝そうな顔をされましたが、話していると、ここは人気が高いんだよ! と何故か誇らしげな顔をされていました。全国でも有名で、多くの自治体が見学しに来るそうです。

40th_case5_photo06.png

写真6:けっこう、止まっている車がいます。

7.ICの設置位置はどうか

上り線は、アクセス道路があり、さらに自動車専用道路により十分な余裕があります。仮に誤進入しても転回できます。【写真7参照】

一方、下り線は、住宅地と近接しており、NEXCOと並行している一般道からいきなり右左折により進入する形となっていました。さらにPAが張り出している形となり見通しが悪い。そのため安全性を考慮してか、一般道からICへの右折進入、IC出口から一般道への右折進入は禁止されていました。【写真8参照】

時折、上り側から来た車両が、民家の駐車スペースを利用する形で、Uターンして入っていくのが見られました。

またこのICを利用して入った車は、基本的にPAそのものは利用できない構造になっていますが、下り線は、車がバックして大型車マスに駐車する等、危険なところが多く、狭いPAスペースの中で苦労して設計されたことが伺えました。

40th_case5_photo08.png

写真7:上り線入口。バーの前に待避所がある。

40th_case5_photo09.png

写真8:下り線入口。ポールコーンで右折禁止。

8.周辺の開発状況はどうか

「コンビニ」と「生鮮食料品」の2ヶ所は確実にIC設置後に出来ていて、町の発展に大きく寄与していました。もともと住宅地、ショッピングセンター、県営運動公園等があったため、それらの利便性も高めているようです。

9.その他

PAの近くに来るまで、カーナビや地図がなければ、そこにICがあるとはとても思えないほど、何もないように見えました。しかし、軽トラックのおじさん、子連れのお母さん等、須恵町周辺の方々にとっては、生活の一部として普通に利用されているようで、着実に定着しているようでした。一度利用すれば、次からは案内が必要ないわけで、地元の人たちのために最低限に、でも確実に案内をしているように感じられました。

10.まとめ

現地調査の結果および公表資料等から、スマートICのメリット・デメリットを整理しました。なお、一般的なスマートICのメリット・デメリットであって、具体的な場所を示しているものではありません。

須恵スマートICは、福岡空港や福岡市街地に近いアクセス効果とベットタウン化している地元の利用が極めて高く出ていると見られ、成功例の一つと言えます。にもかかわらずスマートICへの交通誘導は直近の県道からのみであり、恒久化以降も積極的に誘導しようとはしていません。あくまでも「地元利用(クチコミによる増加)」に徹しているように思われます。

一方、東京近辺の大都市では、IC設置による、周辺交通渋滞情報・歩行者への危険等が大きく問題視されており、大きなメリットを受ける替わりに、新たなデメリットが発生する場合もあります。

したがって、スマートICの新たな設置にあたっては、社会実験は廃止になったものの、地元との協議の上、可能な限り予測されるデメリットを把握した上で、誘導範囲の制限・利用車種制限・利用時間制限および流出入方向の制限をしながら、恒久化しても弾力的に運用していくことが望ましいと言え、片平の技術力を発揮できるところであると思われます。

メリットデメリット須恵スマートIC
費用 開発IC、地域活性化ICに比べ安価に設置できる 恒久化以降も、ETC誤作動による誘導のため、管理施設が必要であり、人件費が必要

24時間・12人体制(2人×3交代×2ヶ所)

仮に一人3,000円/時とすると、約1億円/年必要

接続道路(ICへの誘導)

周辺一般道路の混雑悪化

交通事故増加、歩行者の妨げ(例:三芳PA)

朝夕のラッシュ時には混雑しているが、スマートICによるものではない

下り側出入り口は、見通しが悪く注意が必要

接続道路の手前と、主要県道との交差点にのみ看板を設置

ETC(誤作動) ETCにより現金の受け渡しが不要

時間帯割引開始を待つ車両によるゲート通過待ち

ETC車のみ利用可能

ETC施設自体の故障の場合、次のICまで移動しなければならない

下り側には、待避所がない(誤作動の場合、一般道路への影響も考えられる)

所要時間短縮

救急医療施設への搬送時間短縮

目的地までの所要時間短縮(一般道路混雑回避のバイパス効果)

搬送回数(H20・147回)、高速道路による搬送の安定性にも寄与

福岡空港・福岡市街地への所要時間短縮

環境面 所要時間短縮によるCO2等の削減効果
SA・PA施設の利用 大規模なSA等の場合利用可能 小規模なPAでは物理的に不可 入口が本線合流部への加速車線に近くPAは利用不可
大型車 工業団地、物流施設へのアクセス向上 12m対応の施設が必要、小規模なPAでは物理的に不可 工業団地・福岡空港等が近くにあり、大型車対応が望まれているがPAが小さく、特に下り線は見通しが悪く、住宅街に隣接しているため、物理的に難しい
本線からインターへの誘導 スマートICは青紫色(ETCカラー)で示されており、車種もわかりやすい

PA入口の100m、200m、500m、1km前から看板を設置、多少木々で隠れているところがあるが認識可能

SA・PA内での誘導 カラーレーン化等による誘導例 小さなPA等の場合、他車との動線確保、歩行者の安全等配慮が十分に必要

上り線は最初の分岐で間違うと、駐車マスを突っ切らないとOCに行けない(通常見ている限りは迷わない)

下り線は余裕があり、わかりやすい

周辺開発 SA等と併設された施設への誘導 地価上昇等への懸念 確認できたものでコンビニ、生鮮食料スーパー等が進出、また大規模SC等(イオン)への利用者も多くなっていると見られる

リポーター・写真撮影

本社・交通部交通G

Page Top