株式会社 片平エンジニアリング

実走行による道路線形の検証
国道と高速自動車国道の暫定取付における走行性、安全性の検証

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H20.3.30 開通の主寝坂道路

1.主寝坂道路整備への期待

国道13号金山町主寝坂峠付近は、すれ違い困難なトンネル、急勾配・急カーブが多数存在するほか、大雨(150mm)が降ると通行止めとなる道路であった。そこで、主寝坂道路は、通行規制や大型車のすれ違いができない区間を解消するとともに、輸送の信頼性の向上を図るための道路として、大いに期待されている。

2.暫定取付道路

暫定取付道路(一般国道⇔自動車専用道路の取付)の道路構造の決定にあたり、設計当時は第1案「最小曲線半径(R = 300)を使用し、極力地形改変を抑えた案」と第2案「走行性、視認性がよく安全性に優れる線形重視案」の2案を立案し、① 速度制御面、② 交差点の安全性、③ 経済性の3つの観点から比較検討を実施した。その結果、幾何構造の面では両案とも基準値を満足し、優劣の判断ができなかった。このような状況の中で決め手となったのはやはり経済性であった。暫定的な道路であることを踏まえれば、完成時に無駄な用地が少ない第1案の「地形改変を抑えた案」が最善であると判断した。また、走行安全性の面でも、一般道と自専道の速度差を調整する区間としては、第2案では平面線形が良すぎるとかえって速度超過を促し、逆効果になることも十分考えられたからであった。

3.下記の点に注目して現地リポートを実施

  • 走行安全性の検証(実際に安全に走行できるか?)
  • 設計との違い(設計図通りできているか?)

走行安全性の検証

取付部の平面線形は「S字カーブ」が連続する。規制速度50km/hで走行した。ハンドルを予想以上に操作する必要があったため、若干ではあるが横Gを感じつつ、「これが幾何構造を満足する曲線半径"R = 300"だったか!?」と、皆口を揃えて言った。自専道区間に入り規制速度は70km/hに変化した。両側切土区間を数百m走行し、杉の木が迫ってくるような開けた空間になると、机上で描いた設計図と現実のイメージが一致し、感無量で涙が止まらなかった。

設計図との違い

ひと通り主寝坂道路を走り切り、ひと時の余韻に浸っていた。すると、先ほどの走行時に感じた線形が気になり再び取付部に戻った。何かがおかしい事に気づいた。当時の設計では大部分残っているはずの現道が、人一人歩けるスペースしか無かった【写真1参照】。当時の設計の後に修正設計を実施しているのではと頭を過ぎる。するとすぐに、用地買収幅を最小限に抑えるために現道幅を最大限利用し、厳しい平面線形に変更しているのだと容易に推測できた。・・・結果、現地は当時の設計から大幅に変更されていた【図A参照】

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写真1 旧道取付部の平面交差点

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図A

4.卵型線形

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卵形線形区間の走行状況

主寝坂道路の平面線形は、以下の点に留意して検討した。

  • 付替河川延長の短縮
  • 国道の付替えを回避
  • 長大切土のり面の発生を抑制
  • 墓地を回避
  • 橋梁等の構造物を極力低減

平面線形は上記の点に留意し、"卵形曲線"を採用案とした。採用線形に対し、当時のクライアントからは"道路調査設計ノウハウ集"という文献に基づき、"卵形曲線"は望ましくないと指摘された(その文献では、"卵形・複合曲線の使用は極力避け、非対称の基本形クロソイドを検討する"と記載されている)。

ここから、片平VSクライアントの熱い戦いが始まり、当時未熟だった片平担当者はかなり苦労させられた。長い戦いの末、上司による下記内容の説明で理解を得ることができた。

「平面線形検討において、まずは円曲線とクロソイドの基本的な組合せの適用が合理的な設計となることも考えられる。積極的に適用する方向で検討を行うが、当該路線のように平面コントロールポイントの配置が厳しい条件の場合には、適切な線形要素の組合せ(曲線大小の比率)であれば、走行性に問題が生じることはなく、平面コントロールポイントを回避した平面線形が可能である」と。

問題とされた平面線形箇所は、何の問題もなく、いつ走行したのか気付かないほどスムーズに走行可能であった。ひとつだけ感じたことを言えば、同方向の曲線が続き、ハンドルを傾けた腕に疲労を感じた。

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通常、道路平面線形の組み合わせはクロソイド曲線(A)(ハンドル操作、道路横断勾配のすりつけのために必要な緩和曲線) +単円曲線(R)が基本形であるが、卵形曲線は同方向の単円曲線(R)+クロソイド曲線(A)+単円曲線(R)あるいは単円曲線(R)同士の組み合わせである。

リポーター

山西 宏治

出身:岡山県出身(平成7年入社)

意気込み:とりあえず気合い!

経歴:本社道路環境部 → 施工管理(滋賀大津)→ 本社道路交通部

趣味:ゴルフ、野球

佐久間 唯之

出身:埼玉県出身(平成8年入社)

意気込み:雑務担当!

経歴:本社道路環境部 → 施工管理(愛媛大洲)→ 本社道路交通部 → 三陸PPP(岩手宮古)

趣味:サッカー、フットサル

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